月の重力を強く受ける町、月代町(つきしろちょう)。
そこは他より少し、地球が引っ張る力が弱くてね
人々は錘(おもり)をつけて暮らしてる。
だけど自由を求める若者達は錘を外して空を跳ね回るんだ。
この物語の主人公、成田修吾(なりたしゅうご)は若者と呼ばれる年齢を越えた今でも月代町の空を跳ね回ってる。
かつて争ったライバルや仲間達のほとんどはもうこの街の狭い空、大きな月の傍にはいないけど
あの頃と同じように、今夜も跳ねるんだ。
月に届く訳でも、ここではないどこかへ飛んで行ける訳でもないけれど。
『僕らはみんな、柔らかく引っ張られてる。』