国土の70%を岩山が占める国。
ザ・ロックと呼ばれる海に突き出す巨大な岩山の地層は天地逆にひっくり返っており、古い地層が新しい地層の上に横たわっている。
雨水に溶かされ100以上の洞窟を有し
人間達は岩山をくり抜き地下道網を造り、交通や穀物の備蓄場所として使っていた。
夏季には雨が少ないので、大きな貯水池を造り
そこに溜めた雨水と海水を蒸留した水をブレンドしたものを飲み水として使用する。
幾度かの戦争で海を取り囲まれた際にはザ・ロックに立て籠もり岩山は要塞と化した。
人々はザ・ロックと共に歴史を刻み、その歴史に誇りを持っていた。
そして現在、人々は地下道網の一部でのみ生活している。
限られた空間で生き延びる為に協力し設備を整え暮らせる環境を築いていた。
トンネルの外は人を喰らうEATERの世界。
人間達が閉じこもってから14年の時が流れていた。
『そんなの知らない。』
14歳の少女タルラ・ロッシュは外の世界を知らず、大人達の話に興味もなかった。
大人達は言う
トンネルには歳をとらない女神が、
岬の灯台には怪物が住んでいる。
『そんなの知らない。』
私は地下道で産まれた。
それが当たり前で、世界の全てだった。